よく「命がけでやる」「死ぬ気でやる」とか言います。「時は命なり」という言葉もあるように命とは生きている間の時間のことだとすると、人間は死ぬ瞬間に向かって、1秒1秒命を削って生きているわけですね。

「人生一寸先は闇」とも言います。10分後に間違いなく生きているとは言い切れない。今夜寝て、明日の朝に目覚める保証はどこにもありません。「命がけ」などとことさら大げさに言わなくても、命はもともとかかっているのです。

だからこそ、今この時を大事にだいじに生きなくてはならないんだよ、ということなんですが。そういう意味の命がけでなく、たとえば、何事もなければ間違いなく明日以降も生き続けることができるであろうという状況の中で、「明日以降の生きる可能性、残りの人生を捨ててまでもやらなくてはならないことをやる」という意味の命がけもあります。

人間には自分の命よりも大事なものがある・・・・場合もある。

たとえば、自分の子供や家族、人間としての尊厳や誇り、その他にも仕事や恋人、あとは何でしょう。お金(お金は命より大事?)、健康(健康のためなら死んでもいい?)などはどうでしょうか(笑)。

「和の実学」の大和信春さんによると、志にも初級、中級、上級と水準があるそうです。初級は、「それが好きで、打ち込むことができる」「その道を納得がいくまで究めたい」というレベル。中級は、「それは最も欠くことのできない自分の生き甲斐である」「それに生涯を捧げて悔いはない」というレベル。そして上級は「そのために命を捧げてもよい必要なら危険を冒して死んでも本望だ」「それが完全にできたならば、この世に思い残すことはない」というレベル。

命がけとはこの上級レベルの志のことですね。吉田松陰は「志の無い者は虫(無志)だ」と言ったそうですが、人間から志をとったら虫けらと同じだということでしょうか。

確かに、歴史的に見ても、家族やあらゆるものを犠牲にしてまでも志を貫き、偉業を成し遂げた人は結構多いのではないでしょうか。

たった一度の人生ですから、できれば何かを成し遂げた充実感を味わって死にたいと思いますし、死ぬ瞬間にできるだけ後悔はしたくないとも思います。でも、家族を犠牲にしてまで今の仕事をやり遂げたいかというと・・・ちょっと考えてしまいます。

私の志、初級レベルでしょうか? せめて中級くらいまでは・・・・・・。(2006.0401)